インターネット講座 -(1)-
桃太郎のルーツ(3)



.障害切り開き常に前進 「人 類の 幸福の原理追 求」


 桃太郎童話の発祥地は、全国に30カ所以上あると言われている。

 桃太郎の3大神社は、岡山県の吉備津神社と香川県高松市の桃太 郎神社、それに愛知県犬山市の桃太郎神社である。敦賀市の気比 神宮も桃太郎誕生地といわれている。

 越中富山の上新川郡の桃が流れてきた話では、「おじいさんが山へ 芝刈りに行った留守に、おばあさんは川で洗濯をしていると、川上か ら大きな桃が流れてくる。それを拾ってきておじいさんに食べさせよう と思って家の庭の臼(うす)の中に入れておいたところ、帰ってみると 桃ではなく、 1匹の犬ころが入っていた」という桃犬太郎物語がある。

 また、小矢部には「もとの桃になって流れていった桃太郎」がある。 ここの桃太郎は、成長しておじいさんとおばあさんを京都見物に連れ て行く。その途中桃太郎は、鴨川の三条の大橋から川に落ち、元の 桃になって流れて行ってしまうという悲劇型の民話である。桃太郎物 語は、まさにその土地の民俗を表していると言えよう。

 桃太郎物語は、調べるうちに、日本だけではなく、中国、台湾、イン ドにまで広がる。そしてその物語は東洋思想が生んだ「人類の幸福 の原理」を追求した物語であることが分かる。

 桃太郎神社には、それぞれ桃太郎の誕生にまつわる故事来歴を伝 えている。岡山県の吉備津神社は、大和朝廷の命を受けた吉備津彦 が鬼ノ城に立てこもる温羅(うら)退治に出掛け、これを見事に退治し たという勇ましい話を伝える。

 高松の桃太郎神社の境内には桃太郎、犬、猿、キジの墓がある。 おじいさんが芝刈りに出掛けた山、おばあさんが洗濯した川、鬼が全 滅したという鬼が塚まである。さらに高松市から北の方角には、女木 島があり、こここそが鬼が島だと言う。そして犬山市の桃太郎神社に は、おばあさんが桃を拾った洗濯岩、鬼退治の鬼が島などが名所と なっている。

 このように全国各地に桃太郎伝説が語り伝えられている。その魅力 は、桃太郎が常に前を向いて、あらゆる鬼(障害)を退治(切り開き)、 前進している姿に私たちがしびれるからなのである。

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