インターネット講座 -(7)-
桃太郎と社会心理(1)


第7回目は桃太郎と社会心理です。

 桃太郎物語は時の為政者により伝説化され現在に至っています が、 この物語は一般大衆にはおとぎ話として口承されてきました。

 時の為政者が求める桃太郎物語と、一般が求める桃太郎物語は微 妙に違いがあります。明治以降の桃太郎物語は為政者(文部省)の 物語であり、まさに改ざんされた桃太郎物語といえます。
 これに対し、江戸時代の桃太郎物語は一般大衆中心で、すでにご 紹 介した「回春説」はまさにおとぎ話として大人の間の口承文学といえま しょう。
 社会心理学的にいいますと、為政者はその権威を保持するため、 日 本一を旗印に正当化をしようとします。

 一方、一般大衆は、為政者に対する不満を「桃太郎」に託し「鬼退 治」 を通じて表現しストレスを発散しようとします。
 江戸時代まで、桃太郎が歴史書の表舞台に登場しないのも、桃太 郎 物語の真実を口承文学として伝えられてきたため、為政者が取り上 げられなかったからかもしれません。

 明治に入り、桃太郎物語は国定教科書に取り入れられ、為政者に 利 用される桃太郎物語となりました。
 このため桃太郎物語に秘めた一般大衆の本音が出せなくなりまし た。
 このように、口承文学はその裏の事実を伝える役割を担っているわ け ですが 明治に国定教科書に取り入れられてから100年間私たちは、桃太郎 物語の真実を封じられたままの状態なのです。

 この回は「歴史の真実を教える桃太郎」〜時の為政者によって伝説 化《桃太郎と 社会心理(2)へ》 および 「鬼退治などに共通思想」〜ルーツは「ラーマヤナ」や「西遊記」《桃太郎と 社会心理(3)へ》 をお 読みください。

 鬼の人権を守れ 桃太郎には兄弟がいたを特にご覧 ください。


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