インターネット講座 -(4)-
桃太郎と鬼の研究



今回は鬼の研究について講義しま す。

 鬼といえば、われわれの生活にぴったりと寄り添うものです。 鬼のような人、鬼のリーダー、鬼嫁、鬼は外、鬼退治など 鬼は人間世界に寄り添ってくらしています。
 桃太郎と鬼の研究講座では、この鬼を研究することにより 人間世界の矛盾点を解明していきたいと思います。 まずは、鬼とはなにかをご理解いただきたいと思います。

◆鬼とは何か
 一口に鬼といっても時代によって異なり、また国によっても異なり、 宗教によっても、人によっても異なる。 そこで、日本人が一般にイメージする鬼について研究してみよう。

◆ポピュラーな鬼の姿
 その姿は、人間の身体をしていて、筋骨隆々、牛のような角が二本 あって、トラの皮のふんどしをしていて、手に金棒を持っていて、口は 横に大きくさけ、牙が鋭く、誰彼の見境なく、人を食べ、地獄に落ちた 亡者どもをムチ打つ、赤鬼、青鬼、黒鬼。
 このもっともポピュラーな鬼の姿は太古の昔からあったと思われて いたが、これは室町後期の狩野元信の創作だと言われている。この 鬼の絵の注目すべきは鬼が牛の角をはやし、虎のふんどしをしてい ることである。丑寅の方向が古来、鬼門とされていることを知れば、こ の話しは分かりやすい。

◆鬼は隠からきている。鬼は隠音の なまれるもの
その鬼の意味は
1、死ぬことを隠れるという
2、その隠れたもの(死骸)が化けたのが鬼。オンーオニ

 隠は怨、恨み、憎しみ、憤り

◆鬼の定義
 鬼という字は、出所は中国の殷、甲骨文字に死骸をかたどって現れ る。
 読みは「キ」で「オニ」と言う訓読みである。
 「人の帰するところ、鬼となる。田は鬼頭を象れる」
 田は死人の顔が醜悪になった形相とも考えられる。 田を持つ男という文字、つまり、男とはそんな顔をした力のあるやつと いうことになる。 いづれにしても、鬼とは死骸、死者、亡者またはそれらの化したもの、 死霊である。
 鬼の字を穴のあくほど見つめてみると、骸骨の姿が浮かんでくる。 鬼、鬼、鬼、鬼、鬼、鬼・・・
 田のノは頭蓋骨、田はあばら骨の並ぶ胴体、儿は足、肋骨のあら わ な、やせ衰えた老人を眺めていると、逆に鬼の字が浮かんでくる。

◆広辞苑による鬼の解説
1、死人の霊魂、亡魂、亡霊  目に見えないもの
2、恐るべき形をして、隠顕常ならず、人に祟りをする怪物、もののけ
3、想像上の生物。人身で牛角があり,口は横にさけて、鋭い牙を有し, 裸体で、腰に虎の皮のふんどしをまとい、怪力がある。地獄にいる獄 卒、らせつ、やしゃ

 
 先ず、形ができ、神出鬼没の熟語どおり、見えたり、見えなくなった りしてついには、牛の角をつけられ、口を裂かれ、虎の牙をはやされ、 裸で虎のふんどしをまとわされ、金棒をもたされ地獄の番人にさせら れてしまった。
 日本の鬼は角は牛の角で、西洋の鬼、悪魔の角は羊の角。農耕民 族と牧畜民族の違いが現れている。
 そんな訳で、鬼ははじめ目に見えなかった、それがいつもまにか変 形していった。

 神は元来天か海のかなたにいて、隠れている身だか ら、カミ、時に応 じ、岩や木や水の辺にやってきたのである。

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