インターネット講座 -(5)-
桃太郎と「桃・キビ団子・日本一」の研究(3)


「経済基盤」と「人材基盤」象徴 〜能力呼び起こ す「キビダンゴ」〜


 桃太郎は「鬼が島へ鬼退治に」行くため、お婆さんにキビダンゴを 作ってもらう。では、なぜ他の穀物でなく、キビなのであろうか。
キビはイネ科の植物で、アジア中央部から東部にわたる温帯地域に 分布する。

 私たちが連想するキビは、黄色いキビ餅(もち)や岡山のキビダンゴ である。酒やお菓子にも加工され、今や健康食としても見直されてい る。

 キビは、やせ地でもとれるので、一般民衆の食用にされてきた。江 戸時代まではコメは貴族や裕福な者の主食で、庶民の主食はアワ、 ヒエ、キビ、ソバ粉などだった。キビには「気血の働きをおう盛にして、 身体中に精気をゆきわたらせる」効能があると言われている。キビは このように庶民の食べ物として、またダンゴは飢きんに備えて準備し 栄養剤兼保存食品として作られたのである。キビダンゴは年中行事 のほか、祭礼・婚礼などの祝い事に贈答されたという。まさにキビダン ゴは、「ハレ」の日のごちそうだったのである。

 ところで、桃太郎のキビダンゴは何を意味するのであろうか。
 お供のイヌ・サル・キジはキビダンゴをもらって桃太郎の鬼退治に 参加した。桃太郎物語では、キビダンゴは「経済 基盤」と「人材基盤」 だと言う。従者の「衣・食・住」を保証することと、異能人材が 能力を発 揮できる場を与えることがキビダンゴに隠されているのだ。
 桃太郎は従者の「イヌ・サル・キジ」という異能集団に、経済安定と 能力発揮機会を与え、社会正義に反する鬼どもの退治に活躍させた のである。

 翻って、今の日本はどうであろうか。イエスマンのみを重用する、同 質型(金太郎アメ型)人事政策は、大企業や官庁を腐敗させ組織犯 罪へとつながっている。桃太郎型人間の代表は、あの「野茂投手」で ある。異能の人材を活用できる、広い心をもったトップ陣がいたら野 茂も日本で大きな仕事ができたであろう。
 桃太郎は日本一のキビダンゴというインセンティブ(誘因)で、異能 集団の能力を発揮させた。

 激動の時代、われわれは桃太郎物語から大いに学びたいと思う。


トップ 戻る 進む